気合を入れ、床を力いっぱい踏みしめようとしたのに……
なんでこんな非常事態に限って、教室の入り口をふさぐように立っている人がいるかなぁ。
「ここにいたのかよ」
入り口から飛んできたのは、半ギレしていそうな威圧的な声。
恐怖で体が震えだしてしまった私。
結局、窓際から逃げられないままに。
あの人は……
ビクつきながらチラリ。
長すぎる前髪の隙間から、チラチラチラリ。
ひぃえぇぇぇぇ!
なぜここに、怒り顔の総長様がいらっしゃるのですか!?
こっちに来ないでください!
私が必死に願っているのに、ズボンのポケットに手を突っ込んだまま、ズカズカと教室に入って来たんですけど。



