「今からは野いちご学園高等部が誇るイケメン4人組が、最高のステージをお見せしますね」



彼女はまるで、ステージを彩る主演女優のよう。



笑ったり、とぼけた表情を見せたり、ステージを走り回ったり。

野いちご学園のアイドルの魅力を説明しながら、お客さんを笑いのうずにひきずりこんでいる。





ほらやっぱり。

コミュ障の私が、紹介MCをやらなくてよかった。



ほら、やっぱり。

稲森さんがステージに立って大正解だったんだ。




暗い客席に座り、長い前髪で瞳を隠しているダメダメな自分。

スポットライトを浴びて輝いているステージ上の稲森さんと比べてしまい、自分のことが惨めに思えてしょうがない。



お客さんは、自分を見せるのがうまい稲森さんの紹介MCに聞き惚れている。

私がステージに立っていたら、大勢の観客の視線にビクビクして、何も話せなくなっていたかもしれないし。