花園さんが、手紙を見つめながら泣きだした。
「私なんかが……見に行っていいのかな? ……迷惑じゃないのかな?」
頬を伝う綺麗な雫。
うれし涙なんだと、私は思う。
この前は『紹介MCをやってごらん』と、花園さんの未来を信じて応援してあげられなかったけれど。
あの時と同じ失敗は、二度としません。
君の幸せを心から願いながら、先生として背中を押させてください。
「アイドル選手権用に最高の曲を作ったのは、花園さん、あなたじゃないですか」
「……そう……ですけど」
「ステージの上で輝く彼らを見届ける義務があなたにはあると、先生は思いますよ」
私が最上級の癒し笑顔を浮かべたのは、まだ花園さんに未練がある証拠です。
でも
花園さんへの恋心を、永久に封印する覚悟はできました。
だから、ご安心くださいね。



