環くんは抱きしめた腕をほどいてくれたけど、まだキュン死注意報は発令中。
両手で私の肩を掴んで、おねだり猫ちゃんみたいなウルウルな瞳で見下ろしてくるのは、反則級に可愛いってわからないのかな?
「ねぇ、前園さん」
「はっ、はい!」
「俺のブレザーと前園さんのブレザー、交換してくれない?」
ん?
「前園さんの匂いがするもの、たくさん俺にちょうだいよ」
なっ、、、なぜに?
「これから眠りにつくときは、この匂いのするものに埋もれて寝たいんだ。ねぇ、ダメかなぁ?」
ひぃえぇぇぇぇ。
いつも無表情の環くんが、幼稚園児みたいに可愛くおねだりしてくるこの状況。
ギャップありすぎ。
私の肌を突き破りそうなほど、心臓が飛び跳ねておさまらないよ。
目が回りそうなほどのバクバク状態からの回避方法は、これしかない。



