環くんが私の背中に腕を回し、ギューッと抱きしめてきたから
――夢なの? 現実なの?
プツリと、意識が飛びそうになってしまいました。
心臓に手を当てたおかげで、床にバタリは免れましたが……
なんで私は、環くんに抱きしめられているの?
ここは放課後の教室だよ。
誰かに見られちゃったら
『醜いボッチが、王子様を襲ってる!』
なんて、最悪なうわさが流れちゃいそうなのに。
「あっ…あの……、たたたった、たまきくん……」
そろそろ離して欲しいのですが。
「やっぱりこのブレザー、ひざ掛けと同じ匂いがする」
「……えっ? 」
ブレザーの匂いを確認するために、私を抱きしめているってことかな?



