「花園さん、ちょっと確認させてね」
楽しそうに言葉語尾を跳ね上げた環くんが、両手を広げた。
「怯えないで。痛いことはしないから」
彼の声がハチミツみたいに甘く聞こえてしまうのは、限界値を超えそうなくらい、私の心臓がバクバクしすぎているからかもしれない。
何が起こるかドキドキで、心臓が痛い。
目の前にいるのに、さらに距離を詰めてくる環くん。
私たちがゼロ距離になるのは、時間の問題っぽくて。
一体、何が起こるの?
脳内パニックを起こしてしまった私は、怖さで目を閉じずにはいられない。
環くんの柔らかい髪が揺れ、私の頬をくすぐってくる。
いきなり私の右肩にうずめられた、環くんの顔。



