野いちご学園 逆ハーアイドル寮

教室から出ようと、私は足を動かす。

前に進もうとしたはずなのに、なぜだろう。

私の上半身が後ろに傾いた。

1.2歩後ろにヨロヨロっと。



環くんの席に片手をついたおかげで、床にバタリは防げて良かった良かった。



ほっと安堵(あんど)の溜息を吐いたのもつかの間、背中がビクっ。


瞳に飛び込んできた情景のインパクトが強すぎて、目をカッと開いてドキドキっ。




片側のほっぺを机につけたままの環くんが、私を見上げています。

なぜか私の着ているブレザーの裾をつまみ、ツンツンと引っ張りながら。



私なんかのことを、見つめないでください!

幼さが残る王子様のような、キュートすぎるお顔で。



長い前髪の隙間から覗いているだけなのに、あなたのお顔が綺麗すぎて、脈がとびきり早く飛び跳ねてしまいますから!