今日から、この寮に住み始めた直月くん。
総長様が寮のことをサラッと説明しただけで理解したみたいだから、本当に頭が良い人なんだと思う。
避けているかの如く私に視線を飛ばさないところは、相変わらずだけど。
リビングのソファに並んで座る環くんと私の目は、キッチンのウォーターサーバーでコップに水を注く直月くんにくぎ付け状態。
コップの水をのどに送り込んでいる直月君は、寮の中でも風紀委員っぽくて。
喉を潤すためだけに使ったコップは、すぐにスポンジでコシコシ。
洗ってタオルで水けをふき取り、あっという間に食器棚に戻した。
無駄が一切ないテキパキとした動き。
二人で見とれてしまうほど、お見事でした。
直月くんは青みがかかった髪を手櫛で整えながら、ソファに座る私たちの前にやって来た。
何か文句を言いたそうな顔で、環くんだけを睨みつけている。



