勉強に力を入れている特進科と、私がいる普通科。
棟が違うから、同じ高2でも視線が絡んだことすらないけれど。
肩につく緩やかに波打つ髪。
存在感のある瞳。
プクっと弾力のある唇。
全身からあふれる色っぽさは、まさにマドンナ級で。
学園の男子にとって高嶺の花。
「麗ちゃんに告ってくる。ワンちゃんあるかもだし」
と、教室を飛び出すメンタル強者もいるけれど
教室に戻って来た時には
「ダメだったわー 麗ちゃんを落とせる男なんて、大富豪かトップアイドルくらいじゃね?」
と、肩を落としていたりする。
私の視線は、未だ失恋相手にくぎ付けのまま。
絢人先生は、誰にでも優しいんだよね。
だから闇をまとっていた根暗な私のことを、構ってくれていたんだと思うんだけど。



