「まぁ美嘉もこんなだし、別行動ってことで。みんなは先行っててよ」
「えぇ〜、でも心配だし」
「いーのいーの。ほら、せっかくの夢の国なんだし。美嘉もそのうち良くなるから」
「それならウチらも」
「大丈夫だから」
遮るような声に思わず視線を上げれば、そこにはいつもと同じようににっこりと笑うシロがいて。
「……そぉ? なら、何かあったら連絡してね」
「美嘉お大事にね」
口々にかけられる友人からの慰めの言葉に、なんとか手を振って答える。
遠ざかっていく足音と話し声は、ごったがえす人の波にのまれて早々に聞こえなくなってしまった。
「……」
「……」
「……あの」
お互いに無言の中、未だにさすられる背中に自分の中の何かが耐えきれず、そっとそこから逃れるように身を捩る。
「どした?」
「……いや」
離れなかった手の感覚に、もういいやと諦めの気持ちでシロを見れば、ん?と合わされた視線に心臓が跳ね上がった。