その優しさでとどめを刺して


よっこいしょと隣の椅子に腰掛けたシロはいつもと変わらなくて、けれどどことなく熱を孕んだような目つきで微笑みかけられれば、どくりと心臓が跳ね上がって。


勢いよく巡る血液が脳に酸素を運び込み、さっきの言葉を次々と反芻していく。


シロは私をずっと好きだと言ってくれて、そしていつでも私の好きな時に考えればいいと言った癖に、待つとは一言も言わなかった。


それは待たないということではなく、多分、多分だけれど。私の勝手な思い込みかもしれないけれど。


待たせているという重荷を私に背負わせたくなかったのだとしたら?


酷く優しい私の好きな人。

こんな人を前にして、恋に落ちないなんてことができるわけないのに。