その優しさでとどめを刺して


「うん」

くぐもったようなシロの声が示したのは、確かに肯定だったのだから。


"好き"に対する"うそ"の答えが、"うん"なのだとすれば。それはやっぱり好きじゃないということで。


危なかった。
そのまま受け止めていたら間違いなく私は立ち直れないところだった。


ズタズタになった心が悲鳴をあげてるのを見ないことにはできないけれど、今を耐えさえすればきっとまた立ち直れる。

そう思わないと今この瞬間を耐えれそうにないなんて、どっちにしろ惨めじゃないか。


堪えきれない感情が涙となってこぼれ落ちて行く。


そんな私の頭をぽんぽんと優しく慰めるその手に、酷いやつだと思った。


酷いくらいに優しい人なのだ。