正直に言えば浮かれていた。


修学旅行で、夢の国で、好きな子と同じグループで。


だから皆んなでアトラクションに乗ろうとなった時に、それが多少絶叫系気味のものだったことにも、何も思わなかった。


終わった後に、そういえば美嘉は昔ジェットコースター駄目だったよなと。

なのに俺が好きなアトラクションだからってよく乗ってたことを思い出して、未だふわふわした頭で出てくるのを待っていれば、随分と青い顔をした美嘉が歩いてくるのが見えて。


慌てて座らせてやれば、苦しそうな美嘉の呼吸に胸が痛くなった。


こうなるのがわかっていたのか、いなかったのか。
それは俺にはわからないけれど、きっと苦手だろうアトラクションに皆の和を崩すまいとしたのだと思えば、またひとつ恋のぬかるみに足を取られる。


そしてやっぱり自分の具合が悪いくせに、周りに気を遣おうとするから、協力して皆に迷惑がかからないように別行動を提案して。


自分だけは美嘉の隣にいれるように、その優しさにつけ込んだのだ。


のらりくらりとはぐらかして美嘉が諦めてくれるように仕向けた。

本当は側に居たいと、はっきりそう言えばいいのに。
俺たちはそんなことを言える関係じゃないから。