【千里side】




私立赤嶺学園。

"超名門校"、その赤嶺学園を卒業すれば将来も約束されたも同然なその学校に入った。



……そして。




「ボクの名前は渡辺 千里‼︎ 千里クンって呼んでねぇ」




まず最初に自己紹介をしたのが彼だった。


"この格好"をするようになってから、初めて話した同年代の子。



「蒼柳クン」



すっごく中性的で綺麗な顔をしていたから、女の人かと思ったけど違った。


ボクももうちょい背が伸びれば、「女の子みたい」なんて言われず堂々と男の子の格好ができたのに。




「あっ、ボクちょっとトイレ行ってくる〜! 覗かないでね」


「誰が……ちっ」




意外にも乗せられやすい性格なのだな、と思った。




校内のトイレを見つけ、男子トイレの方に入る。


……そこには。




「あ、編入生ちゃんじゃーん。トイレ?」


「うっわ、可愛い顔してる〜」




柄の悪そうな男の人が何人かいた。


この学校はスカウトやテストで受かれば誰だって入って良いって聞いたけど、治安は悪いのかな。




「あぁ、そーなんですよ。だからちょっとどいてくれませんか」




笑顔は絶やさず言ってみた、けど。




「やーだ。どいて欲しいならさ…ちょっと抱かせてくれない? ほら、此処の編入生にとっては恒例行事みたいなもんだからさ〜」




……うわぁ。


本当に、悪趣味。
男子校入ったら皆んながみんなこうなんの…?