「では、今から一度ここから離れる。5分後ぐらいに、鳴いてくれるか」
『わかった。鳴いたら、連絡をしよう』
それで連絡がまた途絶える。ヒースは「一度戻る!」と騎士団に合図を送り、飛竜を旋回させた。一斉に速度をあげて、古代種がいるエリアから離れ、森の魔獣たちがいる場所から遠ざかる。
すると、5分過ぎた頃、背後に鳴き声に似た何かがかすかに聞こえる。よかった。リューカーンの鳴き声の範囲からなんとか飛竜たちは離れたようで、全員巻き込まれずに一時的に離脱が出来たようだ。
『聞こえるか。終わったぞ。わたしの声が聞こえる範囲のほとんどの魔獣は一時的に動けなくなっているだろう』
「わかった。感謝する……戻るぞ!」
ヒースの号令で、飛竜たちは再び一斉に古代種のエリアに向かう。魔獣たちが寝ている間にどうにか探さなければいけないため、速度をあげて突っ込んでいく。
「そんなに遠くにはいっていないはずだ」
リューカーンの言葉を信じれば、魔獣が手を出さないシールドとやらを子竜に張っていたという。本当かどうかはわからないが、信じるしかない。そして、体の大きさから言うと、谷の奥まった場所、リューカーンたちがいる場所とをつなぐ、細くて子供しか通れなさそうな通路を抜けて出て来たのだろうから、と奥へと進む。
「本当に魔獣たちが眠っている……!」
飛竜がはばたく音だけが響く。こんなにシン、と静まり返るなんて、とみな驚いていた。魔獣ではない野生の鳥や虫が時々鳴いているが、普段はもっと様々な魔獣がいて、様々な音を立てているのだとようやくわかる。
「すごい……魔獣と、普通の野生動物と、はっきり区分けが出来ているということなのね……」
ナターリエが呟く。そう思えば確かにそうだ。なるほど、魔獣というものは、魔法が使える、使えないは関係なく魔力というものを持つ、と聞いたことがあるが、それが関係しているのではないかと思うヒース。
飛竜が降下できる場所をみなそれぞれ探して着地し、飛竜から降りて素早く探索を始める。もう、5分経過をした。残りの時間は5分しかない。
「ナターリエ様! これはどうでしょうか!」
一人の騎士が声をあげる。そちらにナターリエは駆け寄った。見れば、本当に手の平サイズの小さな灰色の竜だ。随分衰弱しているようだったが、動いている。
「起きていますね!? 失礼します」
灰色の子竜。他の魔獣は目覚めているというのに、その竜は起きているようだった。それだけで期待が持てる。ナターリエはそれを指して魔獣鑑定のスキルを使う。
「この子です! もう一頭、どこかにいませんか……? みなさん! リューカーンの子供は、眠っていません。もう一頭、どこかに……!」
眠っていないならば、話が早い。人々は、耳を凝らしながら辺りを伺った。もしかしたら「普通に」眠っている可能性もあるが、もし、起きているならば動いて音を立てているかもしれないからだ。
そうこうしているうちに、時間が経過する。ヒースは再びみなに飛竜に乗るように合図を送る。念のために持ってきた檻に子竜を一体入れ、飛竜をはばたかせようとした時
「あっ、あそこ、あそこにいます……!」
声をあげる騎士。見れば、大きな魔獣が眠っている下敷きになっているようだ。挟まっているのは尻尾だけらしく、暴れている。
「飛竜3体で周囲を囲め! 他の者は飛んで、更にそれを囲むようにして辺りを伺え!」
大きな魔獣を囲むように飛竜を地面に配置をする。が、下りている飛竜ならば、魔獣も襲うこともある。時間がない。他の騎士達は飛竜に乗って、低空飛行で周辺を探る。もうすぐ、リューカーンが言う「効きが悪い」魔獣が目覚めるためだ。
ヒースと他2人の騎士は、大きな魔獣を必死になって動かそうとする。なかなか竜の尻尾を踏んでいる場所に隙間が出来ない。と、周辺を伺っていた騎士が声をあげた。
「ヒース様! 肉食の魔獣が何体か起きだしました! こちらに気づいて、向かってきています!」
「もうその大きい魔獣が起きるまで待ったらどうですか!」
「駄目だ。それまで待っても、捕獲は降りなければいけない!」
人々の声が交差する中、なんとか魔獣の体を持ち上げて子竜を脱出させることに成功をした。
『わかった。鳴いたら、連絡をしよう』
それで連絡がまた途絶える。ヒースは「一度戻る!」と騎士団に合図を送り、飛竜を旋回させた。一斉に速度をあげて、古代種がいるエリアから離れ、森の魔獣たちがいる場所から遠ざかる。
すると、5分過ぎた頃、背後に鳴き声に似た何かがかすかに聞こえる。よかった。リューカーンの鳴き声の範囲からなんとか飛竜たちは離れたようで、全員巻き込まれずに一時的に離脱が出来たようだ。
『聞こえるか。終わったぞ。わたしの声が聞こえる範囲のほとんどの魔獣は一時的に動けなくなっているだろう』
「わかった。感謝する……戻るぞ!」
ヒースの号令で、飛竜たちは再び一斉に古代種のエリアに向かう。魔獣たちが寝ている間にどうにか探さなければいけないため、速度をあげて突っ込んでいく。
「そんなに遠くにはいっていないはずだ」
リューカーンの言葉を信じれば、魔獣が手を出さないシールドとやらを子竜に張っていたという。本当かどうかはわからないが、信じるしかない。そして、体の大きさから言うと、谷の奥まった場所、リューカーンたちがいる場所とをつなぐ、細くて子供しか通れなさそうな通路を抜けて出て来たのだろうから、と奥へと進む。
「本当に魔獣たちが眠っている……!」
飛竜がはばたく音だけが響く。こんなにシン、と静まり返るなんて、とみな驚いていた。魔獣ではない野生の鳥や虫が時々鳴いているが、普段はもっと様々な魔獣がいて、様々な音を立てているのだとようやくわかる。
「すごい……魔獣と、普通の野生動物と、はっきり区分けが出来ているということなのね……」
ナターリエが呟く。そう思えば確かにそうだ。なるほど、魔獣というものは、魔法が使える、使えないは関係なく魔力というものを持つ、と聞いたことがあるが、それが関係しているのではないかと思うヒース。
飛竜が降下できる場所をみなそれぞれ探して着地し、飛竜から降りて素早く探索を始める。もう、5分経過をした。残りの時間は5分しかない。
「ナターリエ様! これはどうでしょうか!」
一人の騎士が声をあげる。そちらにナターリエは駆け寄った。見れば、本当に手の平サイズの小さな灰色の竜だ。随分衰弱しているようだったが、動いている。
「起きていますね!? 失礼します」
灰色の子竜。他の魔獣は目覚めているというのに、その竜は起きているようだった。それだけで期待が持てる。ナターリエはそれを指して魔獣鑑定のスキルを使う。
「この子です! もう一頭、どこかにいませんか……? みなさん! リューカーンの子供は、眠っていません。もう一頭、どこかに……!」
眠っていないならば、話が早い。人々は、耳を凝らしながら辺りを伺った。もしかしたら「普通に」眠っている可能性もあるが、もし、起きているならば動いて音を立てているかもしれないからだ。
そうこうしているうちに、時間が経過する。ヒースは再びみなに飛竜に乗るように合図を送る。念のために持ってきた檻に子竜を一体入れ、飛竜をはばたかせようとした時
「あっ、あそこ、あそこにいます……!」
声をあげる騎士。見れば、大きな魔獣が眠っている下敷きになっているようだ。挟まっているのは尻尾だけらしく、暴れている。
「飛竜3体で周囲を囲め! 他の者は飛んで、更にそれを囲むようにして辺りを伺え!」
大きな魔獣を囲むように飛竜を地面に配置をする。が、下りている飛竜ならば、魔獣も襲うこともある。時間がない。他の騎士達は飛竜に乗って、低空飛行で周辺を探る。もうすぐ、リューカーンが言う「効きが悪い」魔獣が目覚めるためだ。
ヒースと他2人の騎士は、大きな魔獣を必死になって動かそうとする。なかなか竜の尻尾を踏んでいる場所に隙間が出来ない。と、周辺を伺っていた騎士が声をあげた。
「ヒース様! 肉食の魔獣が何体か起きだしました! こちらに気づいて、向かってきています!」
「もうその大きい魔獣が起きるまで待ったらどうですか!」
「駄目だ。それまで待っても、捕獲は降りなければいけない!」
人々の声が交差する中、なんとか魔獣の体を持ち上げて子竜を脱出させることに成功をした。