（僕の隣の席の人、まだ来てないのか…）
にゅうがくしきがそろそろ始まるというのに、僕の隣の席の人はまだ来ていなかった。
入学式終わり、ホームルームになると彼女はやってきた。
黒髪ウルフカットで、ピアスをたくさん付けた猫目が特徴的な女の子。
彼女が来ると教室はシンと静まり返り、やがてざわざわと話し始めた。
「あの人ってさ、喧嘩の才能の人だよね…？」
「一条夜子だっけか…なんか関わらない方が良さそうだな…」
喧嘩の才能で、このクラスということは喧嘩が最も強いってことになる。彼女は、スタスタと空いている僕の隣の席に座った。
「私、一条夜子。アンタは？」
彼女はこちらを見向きもしないで話しかけてきた。
「五条真昼です…」
「ふーん」
（会話、すぐ終わったな…）
今日は授業が一個だけあるのに彼女は、そのときにはもう席にはいなかった。
それから、来る日も来る日も彼女は来なくて、僕は彼女が来ないことに寂しいと感じ始めていた。そして、僕は貧乏の才能のせいで完全にクラスで孤立していた。