「あんた、名前は?」
「へ?」
「答えないなら今すぐ警察に引っ張っていく」
他にどうしようもなく、私は正直に答えていた。
「越智です。越智深雪」
当然ながら相手方は名乗らない。撮った写真を出すよう言われて、これまた素直にスマホのフォルダを開いてみせた。
「もしかして、仕込み?」
彼が画面に視線を向けたまま尋ねた。
「え?」
「あの女に頼まれた? だからこんなにばっちり写ってるの?」
「ま、まさか!」
疑われても仕方ないくらい、決定的な瞬間が写っていた。グラスの水を頭から被るこの男の姿が。
「あなたも、私のことより彼女さんを追いかけなくていいんですか? 今、振られたところですよね?」
「……え?」
彼はまじまじと私を見つめた。
それからまたスマホの画面に目を落とし、小首を傾げる。
「仕込みじゃないなら、何であんたは俺の写真なんか撮ってたの?」
「それは……」
改めて、こちらも目の前の男を見つめる。
モノトーンのジャケットスタイルも素敵だが、もっと遊び心を取り入れた衣装も似合うだろう。この顔は舞台に立っているだけで十分に価値がある。
「理想のイケメンに出会ったから、です」
「は?」
またしても冷たい視線に晒され、精一杯の言い訳を始める。
「へ?」
「答えないなら今すぐ警察に引っ張っていく」
他にどうしようもなく、私は正直に答えていた。
「越智です。越智深雪」
当然ながら相手方は名乗らない。撮った写真を出すよう言われて、これまた素直にスマホのフォルダを開いてみせた。
「もしかして、仕込み?」
彼が画面に視線を向けたまま尋ねた。
「え?」
「あの女に頼まれた? だからこんなにばっちり写ってるの?」
「ま、まさか!」
疑われても仕方ないくらい、決定的な瞬間が写っていた。グラスの水を頭から被るこの男の姿が。
「あなたも、私のことより彼女さんを追いかけなくていいんですか? 今、振られたところですよね?」
「……え?」
彼はまじまじと私を見つめた。
それからまたスマホの画面に目を落とし、小首を傾げる。
「仕込みじゃないなら、何であんたは俺の写真なんか撮ってたの?」
「それは……」
改めて、こちらも目の前の男を見つめる。
モノトーンのジャケットスタイルも素敵だが、もっと遊び心を取り入れた衣装も似合うだろう。この顔は舞台に立っているだけで十分に価値がある。
「理想のイケメンに出会ったから、です」
「は?」
またしても冷たい視線に晒され、精一杯の言い訳を始める。
