あの日、消えたセーラの感触を思い出すたびにマオは震える。
「いい子になんか、ならなきゃ良かったって、僕は僕を心底恨んだよ」
触れているのに体が透けて通り抜けてしまった絶望を何度でも思い返すことができる。あんな絶望を味わうくらいなら、彼女の手にかかって死んでしまいたい。
マオが100年温め続けた切なる願いだった。
「どうしても、もう一度セーラに会いたかった。僕が人間を石化し続けていれば、セーラが僕に楔を打つために帰って来てくれるって思ってた」
「マオ……」
「もう一人にしないでセーラ。一人になるくらいならセーラに楔を打たれて殺されたい。いい子で1人で生きるのはもう疲れたよ」



