マオの仰天発言が続くが、どこまでグレ散らかせば「殺して」が出てくるのか、セーラは頭がクラッシュしそうだった。
マオはずっと眉をハの字にしたまま、セーラの頬を優しく撫でて蕩けそうな甘い顔で見つめてくる。
「僕がみんなを元に戻していい子になると、魔王の脅威ってのが消える。
セーラがまた消えてしまうでしょ?」
マオの声がどんどん細くなって苦渋に滲むのが、セーラの耳に情報として正確に伝わってきた。
マオの言う通り、異世界から「魔王の脅威を退けるため」に召喚されたセーラは、役目を終えたら消える定めだ。
マオとセーラがこの世界で共にあるためには、常にマオが魔王として脅威であり続けなければいけない。
「いい子にしてたんだよ。魔王だって怖がられないように、いい子にいい子にしてた。そうしたら、命より大事なセーラが消えたんだよ?」



