変な方向にツッコミが入るほどにマオがセーラを抱くという行為に現実味がなかった。隣に座ったセーラの頬に優しく触れて甘える魔王に聖女は頭を悩ませた。
「またセーラがいなくなるかもって不安なんだ。もうどこにも行かないってその純潔を持って僕のこと安心させて欲しい。
セーラがいれば、僕はいい子でいられるよ」
一度セーラが目の前で消えてしまったトラウマが、マオの行動の端々にこびりついている。たしかに、全国に向けてグレ散らかすくらいにはマオは再び一人になることに怯えているのだろう。
「純潔をくれないなら、僕を殺して?」
「はい?」
「僕に楔を刺して殺すんだよ。セーラにならできる。セーラの手で終わるなら、それもまた素敵だよね」
「どこが素敵……!?」



