セーラはがっくり肩を落としてほかほかのお茶が湯気を立てるティーカップの中身を見つめた。
イジメられるふりを1年続けたマオは、学年末パーティでここぞと下剋上をかました経歴がある。
(マオは目的のためにはものすごい時間かけて周到に準備してやり遂げちゃう子だった。その天才さが人を石にする方向に向いちゃうなんて)
どうしてこんなことになってしまったのか。
5歳のマオは確実にいい子で、魔王の脅威が去ったからセーラは元の世界に帰ったはずだ。
なのに、セーラは再び舞い戻った。
聖女が育てた魔王が盛大にグレ散らかし、
再び脅威が盛り返し、
聖女必殺の「五寸釘」が必要となったからだ。



