マオはセーラが座るソファの隣に座って、セーラのドキドキした可愛い顔を蕩ける笑顔で凝視した。


(そんな可愛い顔をしても、さすがにこれはダメ)


セーラはゴクリと喉を鳴らしてからマオを問いつめる。窓の外では今もしとしと雨が降っていた。


「人を石に変えている石化魔王の正体は、マオなのね?」


セーラの固い声を耳で受けて、マオは耳が嬉しさで痺れた。マオは眉をハの字にして、しょげた猫みたいな顔で笑って頷く。


「セーラなら、一目で僕の魔法に気がつくってわかってた」

「どうして、こんなことを?」


セーラの黒い瞳に透明の膜が張った。まさか、マオがセーラとの人を傷つけない約束を破るだなんて思わなかった。


信頼を裏切られるのはこんなに辛いことだったのか。胸にナイフを突きつけられたら、きっと今と同じ感触がするはずだ。


「セーラに会いたかったんだ」