再び異世界?!─平凡聖女の育てた少年が、年上魔公爵になって貫く健気過ぎる激重純愛♡─



腕の中できゃんきゃん喚くセーラに、マオは真顔になった。ドキドキするからやめて、なんて、もっとしてと同じ意味だ。


「今、もっとしろって言ったよね?」

「はい?!」

「僕の聖女、無敵すぎるんだけど……完敗だよ。ダメだけどもっとしてってズル過ぎない?」


誰の下手にもでない魔公爵マオを震撼させられるのは、聖女セーラのとびっきりの素直さだけだ。


「ちょっと心の準備するから待ってて。もっとキスするから」

「マオちゃぁあーん!聞いてるー?!しないでって言ったんだけどー?!」

「マオ様」


王城の廊下でやんや揉めていると、義息子のデュオが現れて無表情で美しい礼をした。


凛と涼しい無表情が定番のデュオは、マオの右腕であり、秘書だ。誰にでも愛想がよいマオと大違いの不愛想である。


「出発の準備ができました。ビンビン様もお待ちです」

「ありがとう、デュオ」

「今度はどこ行くの?」

「セーラに石人間を見せたいからデュオに準備させてたんだ。行こうか、石人間のお家」

「石人間の……お家?」