召喚士の役目は、聖女を召喚して守り抜き、魔王を拘束することだ。

そのため、召喚士には生まれた時から特別な神力が宿っている。


ビンビンはこの国の人間の頂点に立つ魔法の天才なのだ。

ビンビンは瓶底眼鏡を持ち上げて、キリっと頷く。


「私とマオ様がいて、負けはありません」


揺るがないビンビンと、魔王歴100年のマオの自信漲る笑顔に、セーラは安心した。


「二人がいればきっと大丈夫ね!」


話を眺めていた無表情デュオが、またも別の資料を取り出した。

「石化魔王は、不定期ですが村や街をごっそり一気に石にします」


数字を眺めて理論的に教えてくれる。彼が資料担当のようだ。


「このままのペースで進めば、あと1年以内にこの島国の人間は絶滅の予定です」

「え、もし私が失敗したら、国の人間が滅びるってこと?」

「そうです!一緒に頑張りましょう!」


にっこり不敵に笑うマオと、気合入った瓶底眼鏡のビンビンと一緒に

【石化魔王の駆除】が聖女セーラの目標となった。


マオが義息子のデュオに顔を向けた。


「デュオ、謁見の予約は取れた?」

「はい、滞りなく」


デュオは召喚士でも、魔王でもなく普通の人間であり、マオの秘書的お仕事をしているようだ。


聖女の役目をもらい会談を終えたセーラは、なぜかふわふわと宙に浮いたまま王城内を移動中し始めた。