頭の中で膨らんで止まらない愛の言葉を紡いいだマオは、崇拝や恍惚が映る金の瞳を蕩けさせてセーラを見つめる。
そんな様子を瓶底眼鏡のビンビンはじっと見ていた。
(公爵様は男が好きだから結婚しないと噂だったけれど、このご様子では、聖女様が一回目に召喚された時からお好きだったのでしょうか?どんな関係で?)
ビンビンは咳ばらいをして話を進めた。普段なら効率重視の魔公爵様の進捗が悪い。聖女様に釘づけだからだ。
だが、恋に現を抜かして普段と違う行動をしてしまうことはビンビンにも身に覚えがあった。
ビンビンがキリッと声を張りつめて、聖女への依頼を明確にする。
「聖女様には、石化魔王の脅威を退けてもらいたいのです」
「楔を胸に打って殺すやつね」
「こちらが私が神力を10年以上込めた楔です。一本しかありませんので、肌身離さずお持ちください」
マオ椅子の上で、セーラがビンビンから必殺武器「五寸釘」を受け取る。楔を重みを感じて、今度こそ魔王の胸に楔を打つのかと、眉をひそめる。



