セーラが名前を呼ぶだけで、マオは蕩ける笑顔で甘い声で返事する。その甘い笑顔と声に、室内でお茶の用意をしていた使用人たちがうっとり色香に染まった。
「ソファに座りたいんだけど」
「僕の膝の上は居心地が悪かった?」
「そうじゃなくて、普通に座って話せばいいでしょ?」
「セーラがいなくなりそうで不安なんだ。しばらく僕とくっついてて、お願い」
眉をハの字にしてしゅんとしょげた猫みたいな顔でマオがおねだりする。ぎゅっと凝縮された色気にセーラのペラい胸がキュとさらに縮んだ。
(マオのおねだりなんて可愛くて抗えるはずがない)
胸キュンに絆されたセーラは抵抗を止めて、マオ椅子に落ち着いた。ローテーブルを挟んだ向こう側のソファには白ローブのビンビンが座っている。
瓶底眼鏡をつけて表情の見にくいビンビンだが、首を急角度に傾げた。
「マオ様が女性に興味があったなんて知りませんでした」
「え?」
「ビンビン、聖女様に今の状況をお話しして」



