翌朝、セーラが自室のドアを開けると、ゴンとドアが何かにぶつかって開かなかった。
「あれ?」
「あ、セーラおはよう。よく眠れた?」
「マオ、どうしてそんなところに座ってるの?」
ドアがぶつかったのは、廊下に座り込んだマオの背中だった。セーラが長い黒髪をサラリと流して首を傾げる。
ゆっくり立ち上がったマオの金色の瞳が、セーラを見つめて笑った。
「セーラがどこかに行くんじゃないかって心配で」
セーラが黒い瞳を丸くする。一晩中そこにいたのだろうか。あまりの心配性である。
「本当は外から鍵かけたかったけど、それはセーラが嫌がるかなって思って。ここで見張ってた」



