マオの大人になった凛々しい顔ばかり見つめていたセーラは、いつの間にか以前使っていた部屋のベッドに座らされていた。
部屋全体が薄くキラキラと金色に煌いていて、マオの魔法がかかっていたことがわかる。
「この部屋は何も変わってない。マオの魔法ね?」
「僕が魔法で物の劣化を止めていたんだ。またセーラが帰ってきても、不自由がないように」
「もう一度召喚されるかなんてわからなかったのに、マオは準備がいいね!」
ベッドに座って、またきゃらきゃらと自然に笑い、自然に褒めるセーラの前に、マオが長い足を折りたたんで跪いた。
(僕は、セーラが帰って来るって知ってたよ)
マオの所作のひとつひとつが優雅で美しくて洗練された大人の男性のものだった。
セーラの手を取って、マオは指先に優しくキスした。
「おやすみ、セーラ。もう消えないでね」
不安げな細い声でお願いしたマオが部屋から去った。
(マオに会えてすごく嬉しいけど。再び異世界だなんてどうして?
まさか魔王の脅威が再び?
ってまさかね!?)
セーラはなぜ再び召喚されたのかの疑問が頭を過ぎったが、とりあえず眠った。



