落ち着き過ぎてもはや無表情の彼、デュオに、マオは手を振って一歩下がるように指示した。マオはにこりと外行きの顔で笑う。
「セーラのことは、僕よりも神よりも丁重に扱って」
「「「かしこまりました!!」」」
元気で従順な使用人たちを従えて、マオはセーラを姫抱っこしたまま颯爽と階段を上って行く。セーラは一連の流れでマオが出世したことをヒシヒシと感じた。
一度目の異世界で、セーラが聖女屋敷に住んでいたとき、この屋敷の管理権限は召喚士アイビンにあった。
100年経った今ではアイビンの地位にマオがいるということだ。
召喚士は国でたった1人、聖なる神力魔法が使える魔法の天才だ。貴族で言えば公爵と同じくらいの地位がある。
「マオが今はここの主人?」
「セーラが留守の間だけ、務めてたよ」
「召喚士になったの?」
「僕も召喚士になりたかったんだけど、残念ながら魔王には神力がないから」



