見た目は変わったがマオの変わらない部分を見つけて、セーラはホッとした。
慣れない大きなマオの力強い両腕に姫抱っこされながら移動が始まった。セーラには聞かずともマオがどこへと向かっているのがわかっていた。
マオが目指しているのは、聖女専用のお屋敷だ。
「マオ、アイビンはどこに?」
セーラの問いに、マオの眉はハの字にしっかり下がった。言いにくいことがあったり、マオが言いたいことを我慢した時に眉がぐっと下がる。
「まずはアイビンに、会いに行こうか」
マオはセーラを抱き上げたまま、王城内にある召喚の間を出て、王城に隣接した聖女屋敷の玄関を通り過ぎた。
さらに裏まで歩いて行くとそこは花畑だ。
どこも隅々まで手入れが行き届いた聖女屋敷の裏で、ひときわたくさん彩り豊かな花が咲く場所のど真ん中。
セーラがマオを拾った場所。
セーラが消えた場所。
そこにアイビンの墓が立っていた。



