魔王を育てた聖女として、セーラは慈愛の聖女なんて呼ばれるようになっていた。
ただ普通に子育てしただけですとセーラは心で何度も述べたが誰にも届かない。
着飾った大人たちは手に手に酒を持って、聖女の装いを纏ったセーラが会場の奥で高い玉座に座らされた。
「セーラ、もう飽きてきたんじゃない?」
玉座で聖女様は慈愛の塊!と褒められ続けて疲れたセーラに、正装でキメたマオがコソッと耳打ちする。
「あ、バレてる?」
「僕が逃してあげようか?」
「いいの?」
「セーラが望むなら、ね」
マオが顔の前に指を一本立てて、金色の瞳をパチパチと瞬きするとセーラとマオが透明になってしまった。
透明になったセーラとマオは手を繋ぎ、パーティの中をすり抜ける。
「あれ?聖女様はどこに?」
「先ほどまでいらしたのに」
マオに颯爽と連れ去られて、二人はさっさと聖女屋敷に帰ってしまった。
(全く、聖女様とマオは……抜け出すなんて笑えない)
抜け出す二人の後を、アイビンは召喚士の杖をつきながらゆっくり追いかけた。



