そう言ったマオをセーラは常に気に留めていた。
セーラはマオの小さな本音を決して見逃さなかったのだ。
「マオ、私はあなたを愛してる。心から」
マオの金色の瞳から、本当の涙が一筋零れた。
セーラはたくさんの演技と嘘の中に埋もれたマオの真実を見つけ出して、包み込んでしまった。
(僕もう、一生セーラが好きだ)
マオはもう一生セーラに頭が上がらない。彼女の前で頭を上げようとも思わない。
頭を垂れて垂れて傅き続けたい気持ちが胸に満ちた。愛しさに溢れる胸に、一生抜けない愛の楔を刺されてしまった。
マオがセーラを裏切ることなど、生涯決してないと決した瞬間だった。
「私にとってマオが特別なように。
マオにとって私が特別なように。
誰かにとって、誰かは特別なの。
……たとえ豚でも」
豚の単語にブッと噴き出してしまったのはアイビンだ。マオの茶番からセーラのガチ説教まで最前席で傍観し続けたアイビンは、ゲホゲホと咳払いで誤魔化した。
セーラはマオの手を握って願いを口にする。
「もう誰も傷つけないでね、マオ」
「傷つけてごめんなさい、セーラ。もう、二度としないよ」
アイビンはローブで顔を隠し、咳払いが収まらないまま拍手した。
聖女と魔王の想い合う気持ちを見守った聴衆たちは拍手で称え、マオが愛情深くいい子であると広く社交界に伝わる出来事となった。



