聖女様が指摘するように、大人の怯えが子どもに伝わって、彼を軽んじていいという風潮を生んでいた。
魔王としてではなく、彼をきちんと見るようにと、誰も指導しなかった。
セーラはマオをぎゅうと抱き締めて、できる限りの愛を伝えるように優しい声で語った。
「マオ、あのね。私、マオに出会って初めて生きてきた意味があるって思えたの」
セーラの優しい声にマオが顔を上げる。
セーラに初めて生きる意味を教えてくれた金の瞳が、涙に濡れていて可愛かった。
「マオは私の宝物よ。だから、生まれてこなければよかったなんて、もう絶対、絶対言わないでね」



