マオはセーラに背を支えられて、優しい手にゆっくりと涙を拭いてもらう。セーラの微笑みは慈愛に満ちていて、マオを釘付けにした。
「マオの怒りの表し方は稚拙でした。エルトン君に刃を向けたことは私からも謝罪します。
ですが、皆さんもご存知の通り。
マオは1年間どれだけ虐げられようと一度も彼に反撃しませんでした。
マオだけを責められるでしょうか」
セーラはマオの肩を優しく抱いて、聴衆に語りかけ続ける。
「マオは私のために怒ってくれる優しくて、いい子です。
いい子の彼を魔王たらしめてしまうのは、
周りの、皆さんの心にある怯えなのではないでしょうか」
心ある貴族たちは胸が痛んだ。



