何の罪を犯したこともない子どもが、
魔王、魔王と呼ばれ蔑まれる。
その事実に子どもが自ら殺してと叫んでしまった。
「僕なんか死んだ方がいいんだよ!」
彼がどれほど傷ついていたか、聴衆たちは深く知った。
息を飲み、己の胸に手を当てる者が続出する聴衆の真ん中で、セーラはマオを強く抱き締めた。
マオが嘘泣き顔を上げると、セーラは黒い瞳からぼろぼろガチ涙を零していた。
その顔を見て誰よりギョッとしたのはマオである。
(あれ、セーラ?僕の演技につき合ってくれてるんだよね?)
泣きの演技を熱演していたマオの前に、迫真の演技どころか、ガチの感情でセーラが乗り込んで来た。



