デュオが小さな声でクスッと笑うと、ビンビンも釣られて笑って頷いた。そう、セーラはどこにでもいる普通の女性だ。
魔王を楔で殺すより、魔王を愛し育てるを選んだ。
それは普通の選択だった。
しかし、彼女は一度もブレることなく「魔王を信じる」を貫き通した。
魔王を信じ切った彼女は強靭な意志の持ち主だ。その貫き通した普通はもはや、偉大だった。
「平凡に、あたり前に、優しくあることは簡単そうで、実はとても、難しいことです。それを聖女様はやってのけました」
ビンビンが以前、魔王を信じ続けてすごいと伝えると、セーラは「だってマオはいい子だから」と軽快に笑っていた。
きっとマオを育てたのがセーラでなければ、マオは文字通り厄災の魔王らしく世界の脅威となったのだろう。
セーラがいい子だと言い続けたからこそ、マオがいい子になったのは疑いようがない。
セーラの「マオはいい子」という言葉こそ、マオの胸に刺さった愛の楔だった。



