愛するセーラが目の前から消えて一人になったマオの孤独と、マオがセーラを想った長い年月を想うと、セーラはたまらなかった。想像が追いつかないほどの長い日々だったはずだ。
その壮大な年月に報い、もう彼を一人にしないと誓うためには、この方法しかないと思いついた。
マオが肩を震わせて静かに泣くと、セーラの目からも雨が落ちた。
「ずっと一緒にいようね」
傍から聞けば、物騒な誓いである。
セーラは私が死ぬときにあなたも殺すと言ったのだ。
でも、マオはそれが欲しかった。
また一人になるくらいなら、殺されたいとマオは言っていた。あれは冗談でもなんでもなく、渇望した願いだとセーラは理解した。
楔の誓いは、セーラがマオに贈る最大の愛だ。
「言葉は、思ったよりずっと不自由だよ……僕がどれくらいセーラを愛してるか、どれくらい嬉しいか、微塵も伝えきれない。愛してる、セーラ、愛してるよ」
跪いて聖女の手に縋って一粒一粒と雨を降らせ、何度も愛してると魔王は弱々しく呟いた。
魔王の頭を優しく撫でて涙を零す聖女の姿は、慈愛そのものだった。
光に満ちた静かな結婚式は、厳かに終了した。



