マオの前でマオを見上げて薄紅色の頬で美しく微笑むセーラを今すぐ抱き締めてしまいたいのを我慢して、マオはまた眉をハの字に下げた。
セーラはその下がった眉に指をつんつんとくっつけた。マオの欲しいものを我慢する笑い方を変えたくて今日、こんな花嫁衣裳など着ているのだ。
セーラはマオの手を取って、笑いかけた。
「マオ、こんな時だけど、ううん、こんな時だからこそ。今、結婚しよう?」
セーラの正式な花嫁衣裳を見て、マオはすぐにセーラの意図を感じていた。セーラはマオに純潔を捧げるための舞台を整えてくれたのだ。
「セーラが結婚式を用意してくれたの?」
マオが準備するならば一つの隙も許されず、完璧なものを仕上げたがる。
だけど、セーラが用意してくれたものならば、マオはどんな急ごしらえなものであったとしても嬉しい。セーラがくれるものが、全て特別で愛おしいものだからだ。
「うん、私、結婚式は盛大なものより静かなものがいいなって前から思ってて。二人っきりでも構わないくらい」



