マオの自室に帰ったらまた特大豚ぬいぐるみを殴って性欲を発散させなくてはいけない事案である。
マオは王城で避難生活になることを知っていたので、豚ぬいとアイビンの形見である召喚士の杖をきちんと持参してある。
「どうして?」
「一緒に寝たりしたら、さすがに僕も、絶対手を出しちゃう」
「純潔はあげるって言ったのに?」
きょとんとなぜダメなの?と愛らしく首を傾げるセーラのわかんない攻撃には、お疲れのマオの脳内がグラついた。正式に婚約の約束をしたのだから、婚前交渉くらいアリだ。
だが、マオは雑な純潔の儀は許せなかった。
「セーラの大切で大事で高潔で唯一の純潔なんだよ。きちんとしたいんだ。あんな水に沈めたいジジイに消耗してる時にもらうものじゃないよ」
マオはセーラを優しく優しく抱き締めてから、おやすみのキスをして自室に帰って行く。どこまでも健気過ぎる純愛が極まっていた。



