慈愛の聖女セーラによる小気味よい沙汰に笑ったマオは、続いて国王を金色の瞳でじっと射抜いた。


「大洪水の間、僕の判断に従ってくれれば、石にした全員はもちろん、ここにいるみんなを助ける気があります。まあ、信じるかどうかは、国王様次第ですが」


たった今、大いなる間違いを犯して全国民をこの大洪水での死亡フラグをおっ立てたばかりの国王は、マオを信じるしかなかった。試されているのだ。


マオはいい子、マオいい子、と頭で唱えた国王の返事は一つしかない。


「ハイ、人助け魔公爵を信頼しております」

「ありがとうございます。従ってくれるなら悪いようにはしません」


完全なる悪役の台詞で締めくくったマオがにっこり美しく笑った。

ここに、魔王の言いなりにならざるを得ない国王が誕生した。