きっとマオは一人でたくさん泣いて、たくさん悩んで今ここにいる。マオが決して諦めなかったからこそ、マオとセーラはまた出会うことができた。
マオは石化魔王だが、セーラはマオが決して人を傷つけないと信じている。
マオはいい子だ。こんなにいい子のマオをセーラは全身全霊を持って愛しきりたい。
「こんな平凡な私でいいの?」
黒い瞳を潤ませたセーラが自信なさげに首を傾げると、マオが破顔した。
「セーラは僕にとって、誰より特別だよ。僕を震わせるのはセーラだけだ」
マオが誰にも見せないそんなふにゃふにゃの顔で笑ってくれると、泣きたくなるくらいに嬉しかった。
「ありがとうマオ、私を愛してくれて」
セーラがゆっくりと左手を差し出す。マオがぱちぱちと瞬きすると、金色の薔薇が指輪へと変形した。



