一度目の異世界から消えるとき、セーラが置き去りにしてしまった金色の薔薇だ。
マオは跪いたまま、セーラに100年越しの薔薇を捧げる。
「セーラの子どもっぽくて怖がりで可愛いところを、愛してる。
セーラが自分で自分のことを平凡で無価値だと思い違いしてしまってるおかしなところすら愛してるよ。
もっとセーラのダメで弱いところを知りたくて、もっと叱って欲しいくらいに愛してる」
喉に何か詰まってしまったのかと疑うような震える声で、マオが一つ一つセーラへの愛を積み上げて語る。
「僕がいくら嘘で固めても、僕の真実を見落とさないセーラを……特別に愛してる」



