マオの笑顔があれば全部許される気がしたセーラは、素直に欲しがった。
「もっと独り占めしたくて、ずっと独り占めしたいと思ってもらいたいの」
「最高なんだけど。こんな最高なことある?」
マオがくしゃくしゃの顔をして珍しく子どもみたいに無邪気な顔で笑った。マオの全力可愛い笑顔にセーラの身体全部が熱をおびて喜んだ。
人と深くなることに怯えていたのに。こんなに心が大きく揺さぶられる気持ちなれるだなんて、知らなかった。マオの全部が欲しくなってしまった。
マオはドアに背を預けたままだったセーラの前にゆっくりと跪く。
床に膝をついて神々しい限りの聖女を、金色の目に灯した恋心で見つめた。マオは懐から取り出した一輪の薔薇をセーラに捧げる。
「それってもしかして、私が元の世界に帰った時の、あの花?」
「そうだよ、セーラ。やっと渡せる」



