マオは眉をハの字にしてしょげた猫みたいな顔で笑う。いろんなものを我慢して、セーラのために笑ってくれるマオの表情だ。
セーラはマオの懇願に揺らされて、カッコ悪いことを口にしてしまう。こんなにお願いされて無視する方が、セーラには無理だった。正直で醜い独占欲の言葉が流れ出す。
「マオが他の女の子と話してるの見て、嫌な気持ちになっちゃって」
「うん」
「マオは私のなのに、とか、マオに色目使わないでとか、心の狭いこと思っちゃって」
「うん」
「そんな子どもみたいなこと言わないように一人になろうとしたのに」
「それが聞きたかった」
セーラの鼻先に、鼻先でキスしながらにっこり目を細めてマオがやっと笑ってくれた。
「もっと僕のこと欲しがっていいよ。全部全部ぜーんぶ、僕はセーラのものなんだから」



