唇が重なるまでもう数センチの距離で、まどろっこしそうにマオが許しを待っている。でも、セーラは答えをくれない。
「そんな物欲しそうな顔で僕のこと見られたら期待してしまう。どんな汚い言葉でもいいから、今のセーラの気持ちが欲しい。お願いセーラ、教えて」
マオの鼻先がセーラの鼻をくすぐって、間近で金色の瞳に欲情が滾る。マオだってセーラの気持ちをわかっている。
セーラがマオのことを男として愛し始めてしまっていることを色濃く感じている。
でもセーラから欲しがってくれるまで待つと約束した。
その約束は楔で、マオを決して動かさない。マオはセーラの愛の楔に打たれて動けないことが
生きがいで
嬉しくて
切なくて
生きづらくて愛しいのだ。



