マオの腕が熱く優しく、セーラを抱き締める。
優しい腕に絆されて、セーラの口からぽろぽろと想いが漏れる。
「人って急にいなくなるんだって、こ、怖くなって」
それから
一人で無意味に生きてきた。
「両親の事故があったとき、私はもう成人してて。生活に困ったわけじゃない。
そんな大げさに嘆くほどの不幸でもない、は、はずなのに……」
セーラは怖くなってしまった。大事な人が急にいなくなるのが、何より怖くなった。
だからそれなりにふわふわと、誰とも適当な距離感で、なんの情熱も、意味もなく。
平凡に生きた。
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