再び異世界?!─平凡聖女の育てた少年が、年上魔公爵になって貫く健気過ぎる激重純愛♡─


セーラはアイビンの字だと最初は食いついていたが、難解なことを説き始めるアイビンの説教臭さだけを思い出してさっさと本を閉じた。ビンビンはアイビンがマオについて語るところがないか、速読し続ける。


(さすがのマオ様も、長年の後見人、育ての親とも言えるアイビンの目だけは誤魔化しきれなかった)


ビンビンは邪魔くさい瓶底眼鏡を放り投げて外して、一心不乱に資料を読み込む。


(だから、アイビンの死後に石化魔王として動き始めたのではないでしょうか?)


小綺麗だった資料室の中はあっという間にぐちゃぐちゃになり、紙に埋もれて字にくらいつくビンビンの周りでセーラがあっちこっち興味のままうろうろしている。


セーラは小難しそうな本が並ぶ本棚の端っこで、妙に奇抜なピンク色の本に手をかけた。


(ま、まさかこれは……!ビンビンちゃんの家に伝わるというえっちな指南書では?!)