セーラよりずっと長い間マオを見守ったアイビンなら、マオが石化魔王となってグレた経緯を知っていた可能性は大いにあった。
セーラが立ち上がって目を輝かしてビンビンの白ローブのを掴んで縋る。
「私も連れてってくれない?行ってみたい!ねぇ、マオ。ビンビンちゃんと一緒なら出掛けてもいいよね?」
セーラが無自覚おねだり顔でマオを見つめるので、マオもゆらりと立ち上がった。金色の瞳にはセーラしか映らず、無償のYESで深く頷く。
「今夜は激しい雨が降る気がするんだ」
「激しい雨?それはちょっと、嫌だね」
「僕は仕事があるけど、後で迎えに行くよ。久々にアイビンの実家も見たいから」
時計をチラリと確認したマオは、セーラの腰を抱いて頬に優しくキスをした。ほっぺキス許可を得てから、マオは挨拶はもちろん、好きなときにキスしてくる。
セーラはいちいちそのキスに頬を染めて、マオを伺うように照れ笑う。
「わがまま聞いてくれてありがとう、マオ」
「セーラのおねだりは全て叶うと思っていていいよ」
「豪快な魔王的セリフ!」



