マオの秘書を務めるデュオには、彼の行動が筒抜けだ。デュオはマオが石化魔王として暗躍するための右腕としてもう10年以上働いてきた。
魔王に加担する理由はもちろん、愛する召喚士を手に入れるためだ。
マオは執務椅子で足を組みかえて、さっきまで豚ぬいぐるみ相手に半狂乱で暴れていたくせに偉そうに机に肘をついてデュオに笑いかける。
「石にして黙らせるには、ビンビンは相手が悪いのはわかるよね」
「ビンビン様は石化魔法除けを徹底しておられますから、それに」
「彼女を傷つけない約束だ」
「お忘れなきようにお願いします」
デュオはまっすぐ背筋を伸ばして美しく立ち、胸に手を置いて丁寧に頭を下げる。
洗練された所作から、彼が何の変哲もない平民使用人の出身であることなど誰も想像できないだろう。



