デュオは赤茶色の目を軽く見開いてから、自慢げにビンビンを想って微笑んだ。だが、セーラについては苦言を述べる。
「聖女様がマオ様をお育てになったことは、私が徹底的に情報統制していたのでどこからも漏れないはずです。聖女様が自らお話になられたようですが?そんな重要事項をペラペラと……」
デュオは無表情の能面を張り付けているが、額には青筋が浮かんでいる。計画が破綻したらどうする気だと軽率な聖女の行動にイラついたのが丸わかりだ。深夜の執務室では裏の顔が覗きまくる。
「セーラは僕を自慢することに関しては口が軽いから情報は洩れると思ってたんだ」
マオは唇を擦って、今日のセーラのほっぺの柔さを思い出してふわっと笑う。豚を殴って欲情をぶちまけたので、今はもう可愛かったセーラ愛でる、の領域でマオは落ち着いていた。豚メッタ殴りの癇癪収めはマオの特技である。
「僕が石化魔王だってこと『だけ』を言わなきゃいいと思ってるんだよ。セーラのやらかしなんて想定内さ」
「マオ様は聖女様に甘過ぎます」
「デュオだって召喚士に甘すぎるよ。彼女を手に入れるためだけに石化魔王の僕に取り入ったくせに」



